卒論

在日韓国・朝鮮人の歩みとアイデンティティ

金粉子

現在日本には63万6000人の韓国・朝鮮人が住んでいる。その中でも大多数を占めるのが特別永住者である。特別永住者とは終戦前に日本へ渡航し、日本に住んでいる人とその子孫である。彼らは1991年の入管法改正によって特別永住という在留資格を得た。特別永住者は約48万5000人がいる。なぜ、これほどの韓国・朝鮮人が日本に住んでいるのか?それは1910年の日本による朝鮮統治までさかのぼる。

日本は朝鮮を36年間植民地として支配したが、その前半期に渡来した人の多くは出稼ぎのためであった。その動機は生活難である。韓国併合後、日本の総督府による土地調査事業のため、流民が急増したからである。後半期には強制連行による渡来が多数を占めた。彼らは戦後祖国に帰る機会を逃したが、いつかは祖国に帰りたいと願っていた。しかし、朝鮮戦争と南北分断の固定化で帰国が実現されないまま現在に至った。1世が日本国籍を取得することに抵抗感を持っているのはこのような歴史の背景があったからである。

韓国生まれの1世は肉体的な苦労はしても精神的な苦悩つまり、民族的アイデンティティに悩むことはなかった。しかし、日本で生まれ育った2世、3世はいったい自分は日本人なのか韓国人なのか、はたまた朝鮮人なのか、自分のアイデンティティを見出せず思い悩んだ。彼らは祖国での生活経験もなく、言語や習慣、生活様式において1世と比べて民族的素養が少ない。彼らにとって祖国は観念的なものであって、日本への帰化に対する考えも1世とは違って抵抗感も弱まっている。したがって、日本への帰化者は年々増えている実情である。つまり、コリアン系日本人の増加である。

コリアン系日本人とは、日本国籍を取得した在日韓国・朝鮮人のことである。在日韓国・朝鮮人48万5000人のうち、最近では毎年1万人近くが日本国籍を取得している。また、日本人との結婚件数も増加する一方である。この傾向が続けば、在日韓国・朝鮮人は21世紀前半にはほとんどがコリアン系日本人となる。日本国籍の取得に対する拒絶反応は、在日の間でも、日本の側でも消えつつある。やっとコリアン系日本人としてのアイデンティティを発見することができる時点に立った。これは自然な歴史の流れである。在日の数は年々減っているが、新たにコリアン系日本人となる世代は日本人になっても祖国が朝鮮半島であることを忘れず、朝鮮民族としても誇りを持ち、言語や習慣などの民族性を失わず、守ることがこれからの新たな課題となるでしょう。

 

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