卒論

北朝鮮の核開発における経緯と現状

 

現在、世界中は核であふれている。アメリカ、ロシアを中心とし、イギリス、フランス、中国が核の保有を認められ、インド、パキスタン、イスラエルも開発を行っている。そして日本の隣国である北朝鮮でもその開発が行われている。

ここで北朝鮮の核開発の歴史について考えると、大きく分けて3つに分かれる。1980年代以前の核に興味を持った時期、1990年代の米朝枠組み合意、2000年代のウラン濃縮計画である。現在の核問題の発端は、1994年の米朝枠組み合意に北朝鮮が違反したことから始まる。この合意では北朝鮮が核開発を凍結する変わりに軽水炉2基と重油年間200万トンをもらうというものだった。しかし2002年に北朝鮮の濃縮ウランによる核開発計画が発覚し、アメリカ側が重油の提供と軽水炉2基の建設を中断した。これに北朝鮮は反発し今まで凍結していたプルトニウムまでも再開した。

 ここまでして北朝鮮が核開発にこだわる理由は外交カードとしての、核抑止力、援助を引き出す手段という点である。北朝鮮は外交カードを巧みに利用し、アメリカや日本、韓国などから援助を引き出そうとしている。また抑止力という点ではインドやイスラエルと同様に持っていることで核による威圧感を与え、簡単には攻撃されないようにしている。つまりアメリカに悪の枢軸と名指しされイラクの次の攻撃対象は自国ではないだろうかという不安があるからだ。

 現在この北朝鮮の核廃棄に向け6カ国協議というものが行われている。これは日・米・ロ・中・韓・朝で行われ、現在まで3回行われている。第1回、第2回協議では核廃棄に向けたプロセスはあまり進展しなかったが第3回目になって多少本格的な協議に入ってきた。アメリカは北朝鮮に対して「検証可能で不可逆的な方法」での核廃棄を要求し、北朝鮮は「同時行動順序」による核問題の解決を提唱し、安全保障やエネルギーの要求をした。今後この協議では、アメリカが見返りを与え核廃棄させるのか、または北朝鮮が完全な核廃棄し援助を要求していくのかという点が外交戦略の争点となっていくのではないだろうか。いずれにせよこの6カ国協議が中心となって北朝鮮の核廃棄に向け進んでいくだろう。そして成功すれば今後もこの6カ国が中心となりアジアの問題について話し合われる場になる可能性を秘めている場であろう。


 目次

 はじめに

 第1章 世界の核

 1節 公式の核保有国

  第2節 非公式の核開発または疑惑国

 3節 北朝鮮が核開発にこだわる理由

 第2章 北朝鮮の核開発の歴史

  第1節 1980年代以前 〜ソ連からの技術移転〜

  第2節 1990年代 〜米朝枠組み合意〜

  第3節 2000年代 〜2002年ウラン濃縮計画の発覚〜

 第3章 核の脅威

  第1節 広島・長崎からみる核の威力

  第2節 第2のチェルノブイリの可能性

  第3節 ミサイル開発との関連

 第4章 今後の極東アジアにおける核問題

  第1節 外交手段としての核開発

  第2節 6カ国協議行方

  第3節 今後の展望

 終わりに

 文献目録

  

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